【優勝デッキ考察】アーゴヨンGX【スカイレジェンド】
GWに差し掛かるタイミングで発売された新弾“スカイレジェンド”
シティリーグや数々のジムバトルも経て、すっかりカードプールが浸透した現在。発表当時から注目していたカード“アーゴヨンGX”の活躍をここでまとめて考察してみようと思います。
(1) 調査動機
なぜ今回、竜アーゴヨンGXを考察しようと思ったのか。本質的ではありませんが、自分の心境を振り返ってみると、
① これから自分もアーゴヨンGXを軸にしたデッキを作ってみたいと思っていること
② TwitterのTLをボーっと見ているだけでも、細かなところで採用の幅があることを何となく察していたので、それをもっと詳しく考察したいなと思ったこと
が挙げられます。
ポケモンにしてはかなりサイバネティックであるデザインと、カードとしての使い勝手の良さから、もともとアーゴヨンは好きなポケモンでありました。今回の拡張パックでさらに2種類目のGXが収録されるということでしたが、実際に性能を見てみても“これはぜひ組んでみたい!!”と思わせるカードでありました。
個人的な話ですが、新弾に対しての初動が今回遅れてしまいました。カードを集めるのは、実はこれからです。
特に新弾バトルに向けてデッキを組もうと思ったときに、もうすでに幾分実績が上がっていたので、これを分析してから必要なパーツを集めようと思い至ったのです。
もちろん、これまでもTwitterなんかで、ジムバトル優勝デッキが流れていたのでそれを目にする機会は多くありました。何となく見ているだけでも、このアーゴヨンGXを積んだデッキが、大きな軸から細かな採用カードまで、様々幅のある構築で成績を残していることが分かりました。より詳細に考察してみたいと思ったのも、そういう背景があったからです。
(2) 調査方法
前置きが長くなりすぎました。(いつもですね。すみません。)
で、実際にどのように考察していったかと言うと、いつものあれです。そうです。“平均化”です。
Twitterのタイムラインに流れる店舗大会の上位入賞デッキを集めて、搭載パーツを集計し、それぞれの平均を求めました。今回、“スカイレジェンド”発売日である4月26日からタイムラインをウォッチし、デッキレシピを確認していきました。私が検索する限り、18のデッキレシピが見つかりました。
(このような“平均化”の手法を使って、今なお環境に残っている他の有名デッキを分析した記事がまた別にあります。記事の最後にリンクがありますので、良かったら見てやってください。)
(3) 結果と考察
その18デッキはどのような内訳だったのでしょうか。次のような観点から調べていきましょう。
① ポリゴンZを採用するのか否か
アーゴヨンGXのワザ“ベノムシュート”は、相手の場のどこにでも170ダメージを与える強力なワザです。しかし、エネルギーを4つため込むのと、使用に伴って、エネルギーを2個トラッシュしないといけないのとで「早く打つ」あるいは「連発する」には工夫が必要です。
そのために発表当時から考えられていたのは、このポリゴンZの採用でした。
特性“クレイジーコード”は、自分のターンに何枚でも特殊エネルギーを手貼りしてもよいという破格の効果です。2進化であるので準備は大変ですが、このポリゴンZを立ち上げておくと、ベノムシュートが格段に打ちやすくなります。
今回調べた18デッキのうち、このポリゴンZを採用しているのは9デッキありました。ちょうど半分のデッキがこのギミックを採用しているということです。その9デッキについて、各パーツの採用枚数平均は
・ポリゴン 2.89枚
・ポリゴンZ 2.33枚
・ふしぎなアメ 3.00枚
という結果になりました。
・やはり早さが必要なので専らアメ進化での採用であること
・最低でも2ラインを確保していること
が分かります。
たねのポリゴンについては3枚採用も多くありました。しっかりベンチに2体並べておきたいこと、サイド落ちをケアしたいこと。そういった意図が考えられます。
一方、残りの9デッキについては、ポリゴンZの力をかりることなく頑張る方針がうかがえました。アーゴヨンGXにドロー特性がありますから、マオやマグカルゴによるトップ操作を盛り込むなどの工夫が見られていました。
② エネルギーの構成
ポリゴンZを採用しようがしまいが、特殊エネルギーの割合が多くなるのが、このアーゴヨンGXデッキの特徴です。それも、「ダブル無色エネルギー」や「トリプル加速エネルギー」それに「ユニットエネルギー雷超鋼」や「リサイクルエネルギー」「レインボーエネルギー」など多様な選択肢があります。ポリゴン型なのかどうか、アーゴヨンの他にどのようなポケモンを採用するのか、によってかなり構成エネルギーが変わってきます。
デッキ構成によってテイストが変わってくるので、一律に平均をとった数字を見るのはあまり意味がありません。よって、ポリゴンZの有無で粗く分けておくと
◯ 枚数は( ポリゴン採用 / 非採用 )
・ダブル無色エネルギー 1.00 / 0.89
・トリプル加速エネルギー 1.89 / 2.89
・リサイクルエネルギー 3.22 / 0.00
・レインボーエネルギー 2.89 / 1.89
・ビーストエネルギー 1.00 / 0.89
・ユニットエネルギー 3.78 / 1.78
・基本超エネルギー 0.00 / 2.89
というようになりました。大きな差としては
・非ポリゴンZ型はトリプル加速エネルギーが生命線。これ1枚を貼ってトラッシュにも代えるという動きがメイン。
・ポリゴンZ型にとってはリサイクルエネルギーの2枚使用が生命線。そのための3枚採用、4枚採用が主流。手元に戻ってくるので、ポリゴンZが立っている状態では、握り続けていられる限りエネルギーに困らない。
・ポリゴンZ型は、専ら特殊エネルギーに頼る構成。レインボーエネルギーも多く積んでおけば、ポケモンの選択肢に困らない。一方で非ポリゴンZ型は、他のデッキとの抱き合わせもあってか、基本エネルギーの採用が目立つ。そこでビーストリングの採用も視野に入ってくる。(非ポリゴンZ型のビーストリング平均採用枚数は1.57枚。入っているデッキにはごっそり3,4枚積まれているが、非採用のデッキもある)
③ ウルトラビーストに何を採用するか
ウルトラビーストは、ウルトラスペースでノーコストサーチが可能なほか、アーゴヨンGXデッキでは、特性“ウルトラへんかん”によりそのままドローカードに代えることも可能です。
また、様々なタイプがあるので他の環境デッキに応じた採用が可能であり、レインボーエネルギー構築との相性も良いです。ここもまた、アーゴヨンGXデッキの面白いところでありますね。
ここはポリゴンZが入っているかどうかであまり差はないだろうとの仮定のもと、18デッキからウルネク抱き合わせ型2種、ジラサン抱き合わせ型1種を除いたデッキから計算したウルトラビースト平均採用枚数を並べてみたいと思います。
・草カミツルギ 0.60枚
・鋼カミツルギ 0.27枚
・カミツルギGX 0.13枚
・デンジュモク 0.40枚
・デンジュモクGX 0.07枚
・テッカグヤ 0.47枚
・テッカグヤGX 0.07枚
・ツンデツンデGX 0.50枚
・フェローチェ 0.40枚
・マッシブーン 0.33枚
・フェロマッシGX 0.53枚
・ウツロイド 0.87枚
・たそがれネクロズマ 0.53枚
という結果でした。(1枚も採用されていなかったウルトラビーストは載せていません)
だいたいどれもピン挿し採用なので、枚数としては少ないですが、それでもトレンドはありそうです。
もっともよく採用されていたのは、“ナイトキャップ”のウツロイドでした。ゲーム終盤に大技をいきなり打てる可能性のあるこのカード。可能性は無限大ですね。
次に多かったのは草タイプのカミツルギですね。自分のサイドが4枚のときに大きなダメージを与えるカードです。アーゴヨンGXを3体ぶつけていくゲームプランの中で、サイド4-4、または4-6からのサイドレースにうまく挿しこめます。
次点でたそがれネクロズマでした。このカードもゲーム終盤で力を発揮します。現環境デッキであるサーナイト&ニンフィアGXにも弱点が取れるので優秀です。
また、フェローチェ&マッシブーンGXの採用も目立ちました。アーゴヨンGXの準備ができるまでのカベとしても、ベノムシュートの打点調整としても使えます。
④ サーチ系カード
続いて、サーチ系のトレーナーズの構成を見ていきましょう。
・ウルトラスペース 平均3.07枚
アーゴヨンGXの特性“ウルトラへんかん”により、手札上のウルトラビーストは即ドローソースとなります。その意味で、普通のウルトラビーストデッキ以上に重要になってくるのがこのスタジアム。
展開のしやすさも相まって、デッキの安定性は相当なものになります。今回調査したデッキすべてに入れられており、およそ3枚採用が主流でした。
・ハイパーボール 2.47枚
汎用サーチカード。だいたいのデッキタイプで4枚投入だが、今回調べたアーゴヨンGXデッキではやや採用枚数が少ない。3枚投入が多く、2枚採用のデッキも珍しくなかった。先ほどのウルトラスペースや、後のミステリートレジャーもあって、枠を譲り合っていることがうかがえます。
・ミステリートレジャー 1.13枚
たねポケモンのベベノムは超タイプ、進化先のアーゴヨンも超タイプか竜タイプということでピッタリなのがこのミステリートレジャー。ポリゴンラインは拾えに行けないので、枚数は抑え目。
・ネストボール 2.8枚
使い勝手の良い展開要員。4枚は多いかなー、という塩梅。だいたいどのデッキでもそんな感じですよね。
⑤ その他特徴的なトレーナーズ構成
・グズマ 2.07枚
通常のデッキタイプに比べて、グズマの採用は1枚程度減らされているという数字が出ています。ベノムシュートでどこでもダメージ打てますからね。なるほど。
・リーリエ 2.47枚
・シロナ 1.47枚
これも、ドロー特性のないデッキに比べて、幾分少ない枚数でしょうか。
・レスキュータンカ 1.67枚
どちらかというと2枚採用が多くありました。“ウルトラへんかん”で切ったUBをさらに山札や手札に戻して再利用するというムーブがあるから、また、ピン挿しポケモンが多いから、ということが理由として考えられます。
・ルザミーネ◇ 0.36枚
使用機会は限定されますが、使えればウルトラビーストを大きくアシストするこのカード。超アーゴヨンGXのスティンガーGXで自発的にサイド3枚に持っていくこともでき、割と現実的に使用できるのかもしれません。
⑥ まとめ
・ポリゴンZ採用は必須ではなく、他でやりくりしている構築も多数あり。
・ポリゴンZ採用デッキならば、ポリゴン3、Z2、アメ3が主流。
・エネルギー構成は、ポリゴンZ採用型ではリサイクルエネルギー、ユニットエネルギーを、非採用型ではトリプル加速エネルギーをメインで使う。
・サーチ手段が豊富なこと、メインワザ“ベノムシュート”がどこにでも飛ばせることから、ボール系やグズマの枚数が通常デッキより抑え目である。
などということが分かりました。予想通り、構築を考えさせる面白いポケモンでした。ここで得られた知見をもとにカードを集めて、まずは新弾バトルから頑張ります!!
⑦ 他の環境デッキの平均化
新アーゴヨンGXデッキについての考察はここまでです。
宣伝になりますが、本記事で用いた平均化の手法を使って、他にも有名な環境デッキを構築した記事があります。以下のリンクから飛べるので、よろしければ見てやってください。
「平均化」の考え方で構築を考えるのはこのウルトラネクロズマGXの記事が発端でした。本ブログで圧倒的にアクセスを集めている記事です。今後も気になるデッキは、情報が集まっていき次第、同じように分析していこうと考えています。よろしくお願いします。