名探偵ピカチュウ ネタバレなし感想
5月3日から日本で先行公開されている話題作“名探偵ピカチュウ”
初の“実写版”ポケモンということで、良くも悪くも目を引くキャラクター造詣がキャッチ―であったこの作品。ポケカの中でも、ムービー特別パックということで商品化もされ、気になっていた方も多いはず。
もちろん私も観に行きました。
ポケモン好きとしてもそうだし、シアターで映画を観るのが好きだということもあったので。
結構長々と書きますが、以下はほぼネタバレなし(核心部分にはもちろん触れていません)の感想です。これから観るよという人も、もう観たよという人も、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
- ① 先に結論
- ② 具体的に何が良かったのか ~謎解きあり~
- ③ 具体的に何が良かったのか ~アクションあり~
- ④ 具体的に何が良かったのか ~感動シーンあり~
- ⑤ 具体的に何が良かったのか ~そして、ポケモンあり~
- 実写版デザインの是非
- ⑥ 再度、結論
① 先に結論
先に大まかな感想を。
本作、自分の中ではとても当たりな映画でした。仮にポケカやってなくてポケモンともっと離れた生活をしていたとしても同じような感想を持ったはずです。
ポケカ卓球部で会った人から耳にした感想や、Twitterで流れてくるレビューなどの前評判からもみんな「意外とよかったですよ」といった感じでした。その通りだと思いました。
自分はMX4Dで観ました。スクリーンから様々飛び出して見えるあの3Dメガネをかけて観るやつです。映画に合わせてシートがガンガン動きますし、光や振動などの特殊効果もあります。
MX4Dで観れる作品はみなだいたいこれで観る私。そういう特殊効果が抜群に生きる映画もあれば、別に普通に座って観るだけでもいいんとちゃうの?みたいな映画も正直なところあります。本作“名探偵ピカチュウ”は圧倒的に前者でした。アクションシーンやポケモンのワザによる特殊効果シーンも多く、より映画の世界観に没頭できます。少し追加で料金がかかりますし、映画館としても限定されますが、ぜひMX4Dで観られることをおすすめします。
② 具体的に何が良かったのか ~謎解きあり~
この作品「ジャンルは?」と聞かれると答えに窮します。
もちろん“ポケモン映画”と言えばそうなのですが、様々な魅せ方に挑戦した、単衣には括れない前衛的な作品とも言えます。
主人公のピカチュウは、そうです“名探偵”なのです。探偵と言えば“謎解き”です。明確な謎から始まり、次へ次へと展開を期待させるリード力、そして納得のいく答合わせがないといけません。そのどれもがこの映画にはあります。
冒頭から謎が提示され、その真相に向かって物語が進行します。
ハリウッド独特のテンポ良さがあり、退屈させません。解決に向かって、手がかりは次々と集まっていきます。
「多分こうなるんちゃうかな??」と、頭の中でも推測できます。でも、推理モノよろしく、最後はしっかり裏切られます。「え?そうなの??なんでこいつが急に出てくるの??」と。
もちろん、過度に難し過ぎることなく、ボーっと見ていても驚かされる展開でもあります。最後のオチまで含めて、必然性ある、予想よりもしっかりしたストーリー展開でした。この骨太の謎解きプロットがまず一つ目の本作品の魅力です。
③ 具体的に何が良かったのか ~アクションあり~
単なる推理モノを観たいのなら、火曜サスペンス劇場で十分です。“名探偵ピカチュウ”では、その謎解きに並行してアクションシーンが挿しこまれ、観る者をスクリーンに引きつけるのです。
“謎解き+アクション”なら、某メガネの少年名探偵の映画も有名ですね。あの劇場版シリーズもめちゃくちゃ面白いです。毎年見ています。残念ながら、この“名探偵ピカチュウ”には、むちゃくちゃな速度が出るスケボーがあったり、何かと便利な麻酔銃があったりはしません。犯人をなぎ倒しまくり壁をも走る空手ねーちゃんも出てきません。
しかし、この映画にはポケモンがいます。
ピカチュウが走り回っては電撃を放ち、リザードンは火を噴き、ゲッコウガはダメカンならぬ手裏剣を投げてきます(本来そっちか)。
舞台も様々で、高低差あるカメラワークを生かした摩天楼から、今にも山の匂いがしそうな(MX4Dなら実際に匂いもします)大自然を舞台に、激しいアクションを繰り広げます。大迫力です。
もちろん、生身の人間も出てきます。他の生命の脅威に逃げ惑う動物パニック的な要素もふんだんに盛り込まれています。人食いサメの背びれが迫るJAWSのような、あるいは、狡猾で獰猛なラプトルが迫るジュラシックワールドのような、そんな緊張シーンもあります。やばいです。しばし見入ってしまい、のどが渇きます。
④ 具体的に何が良かったのか ~感動シーンあり~
「静」の謎解きと「動」のアクションが息つく暇なく練り込まれ、「急」なテンポで物語が進んでいきます。しかし、そこはやはりポケモン映画。「緩」の場面ではしっかり感動させて、涙腺をも「緩めて」くれます。
普段の劇場版ポケモンでよく描かれる安定の「人間とポケモン」の間の絆も、実写版ならではの肌身があります。もちろんサトシも良いのですが、ここでは等身大の青年たちが実際の背丈のポケモンたちと触れ合うのです。そこには独特のエモーショナルな空気が生まれます。
また人間たちのヒューマンドラマもしっかり描かれています。少ない登場人物ながら、様々な人間関係が描かれています。ネタバレになるので詳しくは劇場で確認してほしいところですが、最後の10分くらいはとってもハートフルな気分になります。
⑤ 具体的に何が良かったのか ~そして、ポケモンあり~
実写版デザインの是非
とにもかくにも、「ハリウッド」そして「初の実写化」ということで話題性抜群であった本作。ピカチュウのデザインが発表された瞬間から、ポケモンの造詣がらみの話で盛り上がりました。
映画館に入ると、そのピカチュウが真っ先にお出迎えしてくれました。
「見た目はカワイイけど……」と帯が書かれていますが、正直、これを見て一目ぼれで「カワイイーー!!」とはなかなかならないはずです。もふもふなんだけど、どこか掛け値なしで可愛いとは言い切れない。
「観に行くで!!」と心に決めた私も、最初に見たこのピカチュウには大した感情を抱きませんでした。
しかし、映画の中で実際に動いて喋っているのを見ているとどんどん「カワイイ」が増していく。なんだこの不思議な感覚は。もふもふのピカチュウを肩に乗せているあの主人公の羨ましさといったら一体。
一目見たときの可愛さは、もちろん普通のデフォルメされた(?)ポケモンには負けます。
しかし、実写版ならではの「生きている」湿っぽさが、温かさが、そこに「カワイイ」を生み出していました。
映画館の帰りには迷うことなく、玄関のピカチュウの写真を撮り、実際にもふもふを触れるしっぽにタッチしてきました。そして、そこでふと気づく「この世界にはポケモンがいない」という現実感。
結局、実写版のデザインは人による好き嫌いこそあれ、「ポケモンのある日常」をありありと感じさせてくれるのです。
最初の違和感こそあれど、実際に人間の生活の中にポケモンがいるという世界観をとてもうまく表現しているのです。それは間違いありません。
オフィスや市街という人間臭い場所にいるゼニガメやカイリキーも、森林にすむフシギダネやネマシュも実在する生物のようにヒトと同じく生活しているように思えます。
だから、この映画は観終えたときの“真の現実に戻ってきた感”が半端ないのです。これがこの映画唯一の欠点とでも言ったところでしょうか。
⑥ 再度、結論
良作です。ポケカやってるレベルでポケモンを知っているのであればぜひ観に行かれればと思います。お勧めしない人は、ピカチュウを知らない人くらいです。多分そんな人いないと思いますので、全人類にお勧めします。